新刊を扱っている書店の書店員のみの投票で、過去1年間で一番面白かった本に贈られる本屋大賞。
歴代受賞作とその中でも個人的にオススメしたい作品トップ5をご紹介します。
2004年に第1回が開催され、来月2024年12月から第22回の選考が始まります。
歴史の浅い賞ではありますが、受賞作はどれを読んでも間違いなし!!
本が売れない時代をどうにか変えていきたいという書店員の思いから生まれた賞であり、受賞作は面白い上に読みやすい本ばかりです。
普段本をあまり読まない方、これから読書を始めてみようかと思っている方、読む本を探している方、ぜひ本屋大賞受賞作の中から選んでみてはいかがでしょうか?
間違いなく面白い本と出会えますし、読書にハマること間違いなしです。
- そもそも本屋大賞とは?
- 第1回【2004年本屋大賞】
- 第2回【2005年本屋大賞】
- 第3回【2006年本屋大賞】
- 第4回【2007年本屋大賞】
- 第5回【2008年本屋大賞】
- 第6回【2009年本屋大賞】
- 第7回【2010年本屋大賞】
- 第8回【2011年本屋大賞】
- 第9回【2012年本屋大賞】
- 第10回【2013年本屋大賞】
- 第11回【2014年本屋大賞】
- 第12回【2015年本屋大賞】
- 第13回【2016年本屋大賞】
- 第14回【2017年本屋大賞】
- 第15回【2018年本屋大賞】
- 第16回【2019年本屋大賞】
- 第17回【2020年本屋大賞】
- 第18回【2021年本屋大賞】
- 第19回【2022年本屋大賞】
- 第20回【2023年本屋大賞】
- 第21回【2024年本屋大賞】
- 本屋大賞受賞作品オススメトップ5
- まとめ
そもそも本屋大賞とは?
設立の経緯は?
2003年春〜夏、書店員緊急座談会なるものが開かれました。
「本の雑誌」2003年9月号にその座談会の様子が掲載されています。
出版業界がとにかく不景気で、それをどうにか解消し業界を盛り上げるべく何かできることはないかと書店員5名が議論を始めます。
出版社は自分のトコロの本以外を売ろうという発想はしづらいし、出版取次はそういう発想自体がない。
結局自分らの売上しか考えていないと。
となると現場の書店員が事を起こすしかない!ということで考えられたのがこの本屋大賞です。
商品である本と、顧客である読者を最も知る立場にいる書店員が、自ら売れる本を作っていく、出版業界に新しい流れを作る、ひいては出版業界を現場から盛り上げていき、売り場からベストセラーを作れるようにと考えられました。
選考方法は?
選考は、書店員の投票のみで行われます。
特に”新刊を扱っている書店の書店員(アルバイト・パート含む)”のみが投票参加資格者とされています。
過去一年の間で、書店員自身が自分で読んで「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」と思った本に投票します。
選考期間は発表前年の12月〜発表年の4月まで。
選考の対象作品は、発表前々年の12月1日〜発表前年11月30日の間に刊行された(奥付に準拠)日本の小説です。
選考の流れ
- STEP1一次投票一人3作品を選んで投票する。
- STEP2一次投票結果発表上位10作品をノミネート本として発表する。
- STEP3二次投票ノミネート本を全て読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票する。
- STEP4二次投票結果発表二次投票の結果を元に対象作品を決定する。
投票の得点換算は、1位:3点、2位:2点、3位:1.5点(第1・2回は1位:5点、2位:3点、3位:2点)
第1回【2004年本屋大賞】
博士の愛した数式/小川洋子
[ぼくの記憶は80分しかもたない]
博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──
記憶力を失った博士にとって、私は常に”新しい”家政婦。
博士は”初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。
数字が博士の言葉だった。
やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。
あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。
「BOOK」データベースより
299人がエントリーし、191人が一次投票、93人が二次投票を行った。
202点を獲得し、「博士の愛した数式」が大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(148点):「クライマーズ・ハイ」/横山秀夫
3位(111点):「アヒルと鴨のコインロッカー」/伊坂幸太郎
4位(109点):「永遠の出口」/森絵都
5位(99点):「重力ピエロ」/伊坂幸太郎
6位(76点):「4TEEN」/石田衣良
7位(54点):「デッドエンドの思い出」/よしもとばなな
8位(51点):「終戦のローレライ」/福井晴敏
9位(38点):「陰摩羅鬼の暇」/京極夏彦
10位(38点):「ららら科學の子」/矢作俊彦
伊坂幸太郎さん強し・・・。2作品ランクインしていますが、どちらも面白いです。
第2回【2005年本屋大賞】
夜のピクニック/恩田陸
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために──。
学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
「BOOK」データベースより
269人が一次投票、187人が二次投票を行った。
374点を獲得し「夜のピクニック」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(302点):「明日の記憶」/荻原浩
3位(274点):「家守綺譚」/梨木香歩
4位(185点):「袋小路の男」/絲山秋子
5位(155点):「チルドレン」/伊坂幸太郎
6位(153点):「対岸の彼女」/角田光代
7位(138点):「犯人に告ぐ」/雫井脩介
8位(102点):「黄金旅風」/飯嶋和一
9位(92点):「私が語りはじめた彼は」/三浦しをん
10位(74点):「そのときは彼によろしく」/市川拓司
3位となった梨木香歩さん、この方の小説は自然の風景が目に浮かんでくるんですよね。
「西の魔女が死んだ」もオススメです。
第3回【2006年本屋大賞】
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン/リリー・フランキー
オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人—。
四歳の時にオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。
やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。
還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。
「東京でまた一緒に住もうか?」。
ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る—-。
大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。
「BOOK」データベースより
368人が一次投票、290人が二次投票を行った。
279点を獲得し、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(196.5点):「サウスバウンド」/奥田英朗
3位(190点):「死神の精度」/伊坂幸太郎
4位(184.5点):「容疑者Xの献身」/東野圭吾
5位(179.5点)「その日のまえに」/重松清
6位(162点):「ナラタージュ」/島本理生
7位(152.5点):「告白」/町田康
8位(152点):「ベルカ、吠えないのか?」/古川日出男
9位(141点):「県庁の星」/桂望実
10位(135点):「さくら」/西加奈子
11位(103点):「魔王」/伊坂幸太郎
一次投票で10位タイがあったため、二次投票が11作品になった年。
大賞のリリー・フランキーさんって文筆家でもあったのかと驚いた方もいるのではないでしょうか?
ちなみに本名は中川雅也さんです。
第4回【2007年本屋大賞】
一瞬の風になれ/佐藤多佳子
春野台高校陸上部。
とくに強豪でもないこの部に入部した二人のスプリンター。
ひたすらに走る、そのことが次第に二人を変え、そして、部を変える─。
思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。
「BOOK」データベースより
405人が一次投票、359人が二次投票を行った。
475.5点を獲得し、「一瞬の風になれ」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(455点):「夜は短し歩けよ乙女」/森見登美彦
3位(247点):「風が強く吹いている」/三浦しをん
4位(228点):「終末のフール」/伊坂幸太郎
5位(176点):「図書館戦争」/有川浩
6位(175点):「鴨川ホルモー」/万城目学
7位(152.5点):「ミーナの行進」/小川洋子
8位(139点):「陰日向に咲く」/劇団ひとり
9位(127.5点):「失われた町」/三崎亜記
10位(89点):「名もなき毒」/宮部みゆき
1位と2位が飛び抜けて高得点を獲得している年。
伊坂幸太郎さん強しだけれど、森見登美彦さんもここからかなりの数ランクインしています。
「夜は短し歩けよ乙女」は本屋大賞2位のみではなく、山本周五郎賞受賞、直木賞候補、漫画化、アニメ化がなされています。
第5回【2008年本屋大賞】
ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎
衆人環視の中、首相が爆発された。
そして犯人は俺だと報道されている。
なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない──。
首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に方位された青年・青柳雅春。
暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。
行く手に見え隠れする謎の人物達。
運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。
スリル炸裂超弩級エンターテインメント巨編。
「BOOK」データベースより
426人が一次投票、386人が二次投票を行った。
509.5点を獲得し、「ゴールデンスランバー」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(312点):「サクリファイス」/近藤史恵
3位(280.5点):「有頂天家族」/森見登美彦
4位(233.5点):「悪人」/吉田修一
5位(227.5点):「映画篇」/金城一紀
6位(225点):「八日目の蝉」/角田光代
7位(213.5点):「赤朽葉家の伝説」/桜庭一樹
8位(196.5点):「鹿男あをによし」/万城目学
9位(129.5点):「私の男」/桜庭一樹
10位(126点):「カシオペアの丘で」/重松清
数々の作品がランクインしてきた伊坂幸太郎さんがついに本屋大賞を受賞。
2作品がランクインしている桜庭一樹さん。
「赤朽葉家の伝説」、「私の男」、ともに直木賞を受賞しています。
第6回【2009年本屋大賞】
告白/湊かなえ
「愛子は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。
「BOOK」データベースより
411人が一次投票、356人が二次投票を行った。
411点を獲得し、「告白」が本屋大賞を受賞した。
2位以下はこちら。
2位(328点):「のぼうの城」/和田竜
3位(243.5点):「ジョーカー・ゲーム」/柳広司
4位(228.5点):「テンペスト(上下)」/池上永一
5位(214.5点):「ボックス!」/百田尚樹
6位(207.5点):「新世界より(上下)」/貴志祐介
7位(203.5点):「出星前夜」/飯嶋和一
8位(203.5点):「倬む人」/天童荒太
9位(139点):「流星の絆」/東野圭吾
10位(135点):「モダンタイムス」/伊坂幸太郎
7位・8位は同得点ですが、1位票数を多く獲得した「出星前夜」が7位となりました。
「告白」は本屋大賞には珍しく読後感が悪い作品。
しかし、湊かなえさんのデビュー作にして最高傑作と呼び声高い作品です。
第7回【2010年本屋大賞】
天地明察/冲方丁
徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。
即ち、日本独自の暦を作り上げること。
当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。
改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。
碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。
彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く──。
日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。
「BOOK」データベースより
385人が一次投票、350人が二次投票を行った。
384.5点を獲得し、「天地明察」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(294点):「神様のカルテ」/夏川草介
3位(270点):「横道世之介」/吉田修一
4位(256点):「神去なあなあ日常」/三浦しをん
5位(237点):「猫を抱いて象と泳ぐ」/小川洋子
6位(220点):「ヘヴン」/川上未映子
7位(209点):「船に乗れ!」/藤谷治
8位(182.5点):「植物図鑑」/有川浩
9位(130.5点):「新参者」/東野圭吾
10位(91.5点):「1Q84」/村上春樹
5位にランクインした小川洋子さんは第1回本屋大賞を受賞した「博士の愛した数式」の作者。
小説を書く際に一番重要視していない要素は「ストーリー」だそう。
とにかく場所や情景などの描写に力を入れ、ストーリーはそれらを収めて読み手に届けるための器とのこと。
このような作者の意図を考えながら読んでみると、また別の読み方ができるかもしれません。
第8回【2011年本屋大賞】
謎解きはディナーのあとで/東川篤哉
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。
『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。
大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は”執事兼運転手”の影山。
お嬢様の目は節穴でございますか?」
暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。
「BOOK」データベースより
458人が一次投票、439人が二次投票を行った。
386.5点を獲得し、「謎解きはディナーのあとで」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(354.5点):「ふがいない僕は空を見た」/窪美澄
3位(310点):「ペンギン・ハイウェイ」/森見登美彦
4位(307.5点):「錨を上げよ」/百田尚樹
5位(270.5点):「シューマンの指」/奥泉光
6位(263点):「叫びと祈り」/梓崎優
7位(259.5点):「悪の教典」/貴志祐介
8位(259点):「神様のカルテ2」/夏川草介
9位(241点):「キケン」/有川浩
10位(202点):「ストーリー・セラー」/有川浩
7位にランクインしている「悪の教典」。
生徒や保護者に好かれる高感度の高い教師が、実はサイコパスであり、とあることから生徒を皆殺しにする、というあらすじ。
映画化もされているので知っている方が多いかもしれませんが、これひたすらに面白いです。
「告白」は除いて、読後感の良い小説が多いイメージのある本屋大賞において、これは最も異作でしょう。
それほどに単純に面白い作品です。
第9回【2012年本屋大賞】
舟を編む/三浦しをん
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。
新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。
定年間近のベテラン編集者。
日本語研究に人生を捧げる老学者。
辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。
そして馬締がついに出会った運命の女性。
不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
「BOOK」データベースより
560人が一次投票、371人が二次投票を行った。
510点を獲得し、「舟を編む」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(355.5点):「ジェノサイド」/高野和明
3位(324点):「ピエタ」/大島真寿美
4位(265点):「くちびるに歌を」/中田永一
5位(213点):「人質の朗読会」/小川洋子
6位(208点):「ユリゴコロ」/沼田まほかる
7位(173.5点):「誰かが足りない」/宮下奈都
8位(153点):「ビブリア古書堂の事件手帖─栞子さんと奇妙な客人たち」/三上延
9位(137.5点):「偉大なる、しゅららぼん」/万城目学
10位(72点):「プリズム」/百田尚樹
大賞受賞の「舟を編む」。
1冊の辞書ができるまでの労力は計り知れないものがあると気付かされるのと同時に、今の時代何でもスマホで調べられるけれども辞書を手に取ってみようかと思える作品。
辞書は太いし、重いけれど、その分作り手の情熱や愛情が宿っているものなのです。
第10回【2013年本屋大賞】
海賊とよばれた男/百田尚樹
一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。
男の名は国岡鐡造。
出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。
一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。
石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。
「BOOK」データベースより
598人が一次投票、307人が二次投票を行った。
278点を獲得した「海賊とよばれた男」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(266点):「64」/横山秀夫
3位(238.5点):「楽園のカンヴァス」/原田マハ
4位(212.5点):「きみはいい子」/中脇初枝
5位(182点):「ふくわらい」/西加奈子
6位(167点):「晴天の迷いクジラ」/窪美澄
7位(149.5点):「ソロモンの偽証」/宮部みゆき
8位(145.5点):「世界から猫が消えたなら」/川村元気
9位(139.5点):「百年法」/山田宗樹
10位(109点):「屍者の帝国」/伊藤計劃、円城塔
11位(108点):「光圀伝」/冲方丁
1位と2位の差が12点と本屋大賞史上最も僅差だった年。
横山秀夫さんは第1回にも「クライマーズ・ハイ」で2位にランクインしていますが、個人的には「64」が最高傑作。
年が違えば大賞受賞していてもおかしくない作品です。
第11回【2014年本屋大賞】
村上海賊の娘/和田竜
時は戦国。
乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。
村上海賊―。
瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。
彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。
海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。
この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く―。
「BOOK」データベースより
605人が一次投票、386人が二次投票を行った。
366.5点を獲得し、「村上海賊の娘」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(332点):「昨夜のカレー、明日のパン」/木皿泉
3位(299点):「島はぼくらと」/辻村深月
4位(274.5点):「さようなら、オレンジ」/岩城けい
5位(267.5点):「とっぴんぱらりの風太郎」/万城目学
6位(243点):「教場」/長岡弘樹
7位(221点):「ランチのアッコちゃん」/柚木麻子
8位(213.5点):「想像ラジオ」/いとうせいこう
9位(156点):「聖なる怠け者の冒険」/森見登美彦
10位(136点):「去年の冬、きみと別れ」/中村文則
8位にランクインした「想像ラジオ」。
著者のいとうせいこうさんは、あのタレントのいとうせいこうさんです。
タレント業が本業かと思えば、音楽も執筆もと多才で驚きますね。
第12回【2015年本屋大賞】
鹿の王/上橋菜穂子
強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。
妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。
ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。
生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!?
たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。
壮大な冒険が、いまはじまる―!
「BOOK」データベースより
580人が一次投票、342人が二次投票を行った。
383点を獲得した「鹿の王」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(310点):「サラバ!」/西加奈子
3位(309.5点):「ハケンアニメ!」/辻村深月
4位(239点):「本屋さんのダイアナ」/柚木麻子
5位(236.5点):「土漠の花」/月村了衛
6位(231点):「怒り」/吉田修一
7位(185.5点):「満願」/米澤穂信
8位(155点):「キャプテンサンダーボルト」/阿部和重、伊坂幸太郎
9位(131点):「アイネクライネナハトムジーク」/伊坂幸太郎
10位(42.5点):「億男」/川村元気
大賞受賞の「鹿の王」。
著者の上橋菜穂子さんの書くファンタジーは本当に面白い。「獣の奏者」もオススメです。
上橋さんの作品に戦闘シーンが多いのは、学生時代は体育準備室のマットを殴って青あざだらけにするほどの激しい暴力衝動があったから、とのこと。
その衝動が執筆活動に活きて本当に良かったです⋯。
第13回【2016年本屋大賞】
羊と鋼の森/宮下奈都
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。
ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。
個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。
一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。
「BOOK」データベースより
552人が一次投票、331人が二次投票を行った。
372点を獲得した、「羊と鋼の森」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(327.5点):「君の膵臓をたべたい」/住野よる
3位(274点):「世界の果てのこどもたち」/中脇初枝
4位(261点):「永い言い訳」/西川美和
5位(229.5点):「朝が来る」/辻村深月
6位(226.5点):「王とサーカス」/米澤穂信
7位(223点):「戦場のコックたち」/深緑野分
8位(99点):「流」/東山彰良
9位(93点):「教団X」/中村文則
10位(46点):「火花」/又吉直樹
2位にランクインした「君の膵臓をたべたい」。
これは住野よるさんのデビュー作であり、もともとは小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されていたもの。
「住野よる」はペンネームであり由来は、後付けと断っているものの「教室のすみっこにいるような子の夜に創造性があるはず」という意味から。
第14回【2017年本屋大賞】
蜜蜂と遠雷/恩田陸
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。
自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。
かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。
完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。
天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。
「BOOK」データベースより
564人が一次投票、346人が二次投票を行った。
378.5点を獲得し、「蜜蜂と遠雷」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(331点):「みかづき」/森絵都
3位(305点):「罪の声」/塩田武士
4位(302.5点):「ツバキ文具店」/小川糸
5位(261点):「桜風堂ものがたり」/村山早紀
6位(249.5点):「暗幕のゲルニカ」/原田マハ
7位(160点):「i」/西加奈子
8位(122.5点):「夜行」/森見登美彦
9位(70.5点):「コンビニ人間」/村田沙耶香
10位(68.5点):「コーヒーが冷めないうちに」/川口俊和
9位にランクインした「コンビニ人間」。
この作品は第155回芥川賞を受賞しており、これまでに世界30カ国以上で翻訳されている。
著者の村田沙耶香さんは「授乳」で第46回群像新人文学賞を、「ギンイロノウタ」で第22回三島由紀夫賞を受賞したものの、コンビニエンスストアで週3回働いており、その経験をもとに書いた作品が「コンビニ人間」だそう。
第15回【2018年本屋大賞】
かがみの孤城/辻村深月
どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。
9時から17時まで。時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す―
「BOOK」データベースより
665人が一次投票、374人が二次投票を行った。
651点を獲得した、「かがみの孤城」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(283.5点):「盤上の向日葵」/柚月裕子
3位(255点):「屍人荘の殺人」/今村昌弘
4位(227点):「たゆたえども沈まず」/原田マハ
5位(221.5点):「AX アックス」/伊坂幸太郎
6位(214点):「騙し絵の牙」/塩田武士
7位(166点):「星の子」/今村夏子
8位(162.5点):「崩れる脳を抱きしめて」/知念実希人
9位(162点):「百貨の魔法」/村山早紀
10位(88.5点):「キラキラ共和国」/小川糸
大賞を受賞した「かがみの孤城」。
本屋大賞史上、最も高得点で(年によって投票者数は異なりますが・・)、2位に最も大差をつけての受賞作です。
この作品から辻村深月沼にハマってしまった人も多いことでしょう。
第16回【2019年本屋大賞】
そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき―。
「BOOK」データベースより
623人が一次投票、371人が二次投票を行った。
435点を獲得した、「そして、バトンは渡された」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(297.5点):「ひと」/小野田史宜
3位(282.5点):「ベルリンは晴れているか」/深緑野分
4位(250.5点):「熱帯」/森見登美彦
5位(242.5点):「ある男」/平野啓一郎
6位(239.5点):「さざなみのよる」/木皿泉
7位(208.5点):「愛なき世界」/三浦しをん
8位(167.5点):「ひとつむぎの手」/知念実希人
9位(151.5点):「火のないところに煙は」/芦沢央
10位(136.5点):「フーガはユーガ」/伊坂幸太郎
大賞を受賞した「そして、バトンは渡された」。
読後感がとても良く、あたたかい。
子持ちの方にはたまらない作品でしょう。もちろんそれ以外の方にも。
第17回【2020年本屋大賞】
流浪の月/凪良ゆう
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。
わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。
再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
「BOOK」データベースより
586人が一次投票、358人が二次投票を行った。
432点を獲得した、「流浪の月」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(380点):「ライオンのおやつ」/小川糸
3位(327点):「線は、僕を描く」/砥上裕將
4位(275.5点):「ノースライト」/横山秀夫
5位(214点):「熱源」/川越宗一
6位(198点):「medium霊媒探偵城塚翡翠」/相沢沙呼
7位(156点):「夏物語」/川上未映子
8位(147.5点):「ムゲンのi」/知念実希人
9位(105.5点):「店長がバカすぎて」/早見和真
10位(91.5点):「むかしむかしあるところに、死体がありました。」/青柳碧人
6位にランクインした「6位(198点):「medium霊媒探偵城塚翡翠」。
この作品は、第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(AppleBooks)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位とミステリー関連賞で5冠を獲得しています。
伏線回収が好きな方、ぜひ読んでみて下さい。
第18回【2021年本屋大賞】
52ヘルツのクジラたち/町田そのこ
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。
たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。
そのため、世界で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。
「BOOK」データベースより
546人が一次投票、355人が二次投票を行った。
365.5点を獲得した、「52ヘルツのクジラたち」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(287.5点):「お探しものは図書室まで」/青山美智子
3位(286.5点):「犬がいた季節」/伊吹有喜
4位(248点):「逆ソクラテス」/伊坂幸太郎
5位(227.5点):「自転しながら公転する」/山本文緒
6位(227.5点):「八月の銀の雪」/伊与原新
7位(223.5点):「滅びの前のシャングリラ」/凪良ゆう
8位(169.5点):「オルタネート」/加藤シゲアキ
9位(139.5点):「推し、燃ゆ」/宇佐見りん
10位(132.5点):「この本を盗む者は」/深緑野分
9位にランクインした「推し、燃ゆ」。
この作品は第164回芥川賞を受賞、著者はその時21歳で歴代3番目の若さでの受賞となりました。
また著者のデビュー作である「かか」は、第56回文藝賞受賞、第33回三島賞受賞(最年少受賞)とデビュー以来すさまじい速度で数々のタイトルを受賞しており、これからに大注目です。
第19回【2022年本屋大賞】
同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。
急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。
自らの射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。
「戦いたいか、死にたいか」──そう問われた彼女は、イリーナが共感を務める訓練学校で一流の狙撃手になることを決意する。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。
同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃手たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。
おびただしい死の果てに、彼女が目にした”真の敵”とは?
「BOOK」データベースより
627人が一次投票、392人が二次投票を行った。
463.5点を獲得した、「同志少女よ、敵を撃て」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(341.5点):「赤と青とエスキース」/青山美智子
3位(315点):「スモールズワールズ」/一穂ミチ
4位(303.5点):「正欲」/朝井リョウ
5位(252.5点):「六人の嘘つきな大学生」/浅倉秋成
6位(211.5点):「夜が明ける」/西加奈子
7位(190.5点):「残月記」/小田雅久仁
8位(177点):「硝子の塔の殺人」/知念実希人
9位(155.5点):「黒牢城」/米澤穂信
10位(137.5点):「星を掬う」/町田そのこ
4位にランクインした「正欲」。
第34回、柴田錬三郎賞受賞、第3回読者による文学賞受賞、2023年映画化、累計発行部数50万部突破と華やかな実績を誇ります。
以下の記事↓にも書いたのですが、朝井リョウさんの本はエッセイしか読んだことがなかったのでギャップに驚きました⋯。
“多様性”という言葉が持て囃されている今読んだほうが良いと思える作品。
「自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
第20回【2023年本屋大賞】
汝、星のごとく/凪良ゆう
──わたしは愛する男のために人生を誤りたい。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
──まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
「BOOK」データベースより
615人が一次投票、422人が二次投票を行った。
443.5点を獲得した、「汝、星のごとく」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(388点):「ラブカは静かに弓を持つ」/安壇美緒
3位(337点):「光のとこにいてね」/一穂ミチ
4位(307.5点):「爆弾」/呉勝浩
5位(254.5点):「月の立つ林で」/青山美智子
6位(244点):「君のクイズ」/小川哲
7位(232点):「方舟」/夕木春央
8位(225.5点):「宙ごはん」/町田そのこ
9位(224.5点):「川のほとりに立つ者は」/寺地はるな
10位(86.5点):「#真相をお話します」/結城真一郎
7位にランクインした「方舟」。
著者の夕木春央さんは1993年生まれの推理作家で、ここ最近のミステリランキングの常連です。
- 週間文春ミステリーベスト10(2022年「方舟」1位、2023年「十戒」6位)
- このミステリーがすごい!(2023年「方舟」4位、2024年「十戒」13位)
- 本格ミステリ・ベスト10(2020年「絞首商會」23位、2022年「サーカスから来た執達吏」14位、2023年「方舟」2位、2024年「十戒」7位)
- ミステリが読みたい!(2023年「方舟」6位、2024年「十戒」11位)
- MRC大賞(2022年「方舟」1位、2023年「十戒」2位)
第21回【2024年本屋大賞】
成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
「BOOK」データベースより
736人が一次投票、443人が二次投票を行った。
525.5点を獲得した、「成瀬は天下を取りにいく」が本屋大賞を受賞。
2位以下はこちら。
2位(411点):「水車小屋のネネ」/津村記久子
3位(403点):「存在のすべてを」/塩田武士
4位(340点):「スピノザの診察室」/夏川草介
5位(263点):「レーエンデ国物語」/田崎礼
6位(258.5点):「黄色い家」/川上未映子
7位(227点):「リカバリー・カバヒコ」/青山美智子
8位(172点):「星を編む」/凪良ゆう
9位(148点):「放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件」/知念実希人
10位(131.5点):「君が手にするはずだった黄金について」/小川哲
8位にランクインした「星を編む」。
この小説は、第20回の本屋大賞を受賞した「汝、星のごとく」の続編です。
前作を読んだ方は必読。
第17回の本屋大賞受賞作「流浪の月」もそうですが、凪良ゆうさんは何と名付けていいかわからないような関係性を描くのが本当に上手。
本屋大賞受賞作品オススメトップ5
1位:かがみの孤城/辻村深月

まずは辻村深月さんの「かがみの孤城」。
読後の余韻が強烈。
学校生活が人生の全てである学生時代、辛い思いや嫌な思いをしたことのある人、している人は数多くいるでしょう。
鏡をすり抜けた世界、という設定はは私たちの生きている現実世界ではありえないですが、こころの学校に行けない心情にはきっと多くの人が胸を痛めると思います。
以前に比べていじめ問題が表面化してきた今、この本が響く人はかなり多いでしょう。
エピローグは涙必須。たまらない。
2位:海賊とよばれた男/百田尚樹

2位は百田尚樹さんの「海賊とよばれた男」。
出光興産創業者の出光佐三をモデルとした国岡鐡造の一生と、出光興産をモデルとした国岡商店が大企業になるまでの過程が描かれています。
こちらの記事にも書いたのですが、
国岡鐡造がかっこよすぎるんですよ。
売る石油がないとなればラジオの修理もするし、石油販売のために過酷な労働を課せられれば必死になってその仕事をまっとうする。
国岡鐡造の背中を見ていると、従業員たちもついていくんですね。
「人間尊重」
ブラック企業や長時間残業となどという言葉が世間を賑わせている現代、国岡鐡造のこの信念は胸に響きます。
社会人だけではなく、必死に頑張る方皆におすすめできる作品です。
3位:ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

3位は伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」。
手に汗握りながら読めるスリル溢れる作品。
冤罪の怖さ、情報操作・監視社会の恐ろしさ、を改めて感じます。
しかしそれと同時に人の暖かさも感じられ、情報社会はこれからの進歩していくだろうけど、やはり大事なのは人と人との繋がりだと思わされます。
文庫本は約700ページありますが、一気読み間違いなしです。
4位:蜜蜂と遠雷/恩田陸

4位は恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」。
活字を読んでいるのに音が聞こえてきます。
聞こえてくるというか、音を感じられます。
言っている意味がわからないと思いますが、読めば分かります。
文庫本だと上下巻で計950ページほどありますが、ピアノの知識に乏しくても演奏シーンは迫力を感じられ、また16歳の少年、天才少女、サラリーマンなど様々な境遇の登場人物のストーリーが描かれており、ページを捲る手が止まらなくなります。
ちなみに恩田陸さんは第2回本屋大賞で「夜のピクニック」で大賞を受賞しており、唯一複数回本屋大賞を受賞している作家さんです。
5位:告白/湊かなえ

5位は湊かなえさんの「告白」。
これまでに紹介してきた大賞受賞作とは一線を画している作品で、常にダークな暗いイメージがつきまとっています。
自分の娘を自分が担当するクラスの誰かに殺された、というつかみからして不穏な匂いがぷんぷんしますよね。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、数百人の書店員によって本屋大賞に選ばれるだけあり面白さは間違いありません。
ただし読後感は悪いということだけは言っておきます。
それに快感を覚えられる人にはとてもオススメです。
まとめ
本屋大賞は書店員の方の投票のため、おそらく私たち一般読者に近い感覚なのでしょう、毎年選ばれる作品はどれも間違いない面白さです。
心があたたまるような作品は当然ですが、「告白」のような作品も受け入れられる賞なので、毎年発表が楽しみでなりません!!
もちろん本屋大賞を逃したから面白くないというわけではないですし、人によって合う合わないはあります。
読む本を探す一案として参考にしていただけたら嬉しいです。
本当に面白い、感動する、そんな本と出会えた時の嬉しさったらないですよ。